Kz Guitar Works

English

開発裏話

更新日:2009-01-09

Kz Guitar Worksは2007年5月以来、新しいオフィシャルモデル「ブライアン・メイ・スーパー」のプロジェクトに関わっています。今回は開発裏話を一部公開いたします。スペックについても触れていますので、参考にしていただければと思います。
ブライアン・メイ・スーパーはKz Junior(ジュニア)を元にアップグレードしたモデルです。ブライアン・メイ本人やグレッグ・フライヤーさんしか知りえない情報やデータを加味してよりオリジナルに近い仕上がりになっています。
アーリントン・ヒル
2007年4月11日、Kz Junior(ジュニア)をイギリスのアーリントン・ヒル(ブライアンのスタジオ)に送りました。そこでフライヤーさんとブライアンのギターテク、ピート・マランドロン氏により徹底的にテストされました。その結果、ブライアンのセッティングの好みをよく知るピートからは指先から感じる感覚的な部分のアドバイスを、フライヤーさんからはオリジナルの正確な数値や詳細なデータを提供していただきました。
シドニーにて
CIMG7405.jpg
2007年5月20日から4日間、シドニーのフライヤーさんの工房を訪れました。4日間でおよそ20時間、工房に籠もってブライアン・メイ・スーパーのスペックについてディスカッションしました。正確な数値や詳細なデータだけではなく、数多くのテンプレートも提供していただきました。
工場訪問 その1
P1010102.jpg
2007年6月1日、シドニーで話し合ったスペックを伝えに製作工場を訪れました。ブライアンが2008年のツアーで使用したプロトタイプのスペックです。
修正・変更点 – アルミスイッチプレート採用、スライドスイッチつまみ高さ、スライドスイッチつまみエッジ処理、スイッチプレート固定方法、ボリューム・トーンノブのサイズ、止めネジ形状、アルマイト処理、ハンダ、配線材、ポット、コンデンサー、フレット、ジャック部ゴムOリング、ジャック部補強板、ピックガード裏アルミ、指板面無塗装、指板幅、指板R、指板エンドR、ポジションマーク位置、ブリッジRシム、ネックグリップ、ヘッド形状、ヘッド厚、ナット形状、トラスロッドカバー形状、ピックアップ、ピックアップザグリ深さ、ピックアップ高調節シム、など。
プロトタイプは指板面に塗装がない仕様でした。ネックグリップと指板Rがオリジナルサイズに変更された他、ヘッドの外周を少し変更しました。ポット、コンデンサー、配線材、ノイズ対策等の電気系が大きくアップグレードされました。また、ポットのトルクやスイッチの角の丸みなど、指先の感触にもこだわりました。
工場訪問 その2
2008年3月2日、ブライアンとフライヤーさんがプロトタイプをテストした感想を受けて再度工場を訪れました。
修正・変更点 – ネックヒール形状、オリジナルブリッジの下穴を増設、着色用塗料、ピックアップサラウンドの内径、ピックアップサラウンドとトラスロッドカバーの厚み、ピックアップサラウンドとトラスロッドカバーのエッジ部処理、ヒール部セルの形状、ゼロフレットの位置、ゼロフレット高さ、ブリッジRシム形、ブリッジ部分での弦高、ネックセット角、ブリッジの位置、ピックアップ位置、ピックアップザグリ深さ、ブリッジザグリ深さ、セルの形状、トレモロアームの高さ、指板面塗装、指板面着色、配線材長さ、フレットサイドと指板エッジの処理方法、ボディー・トップ材をセンター・ブックマッチ、ジャック菊型ワッシャーサイズ、弦アースの位置、など。
ネックセット角を変更した為、ブリッジとピックアップザグリの深さも変更。また、ピックアップカバーのサイズ変更に伴い、ピックアップサラウンドの内径等を変更。多くのお客様の声を受けて、指板面のクリア塗装が復活しました。
工場訪問 その3
P8110065.jpg
2008年8月11日、プロダクションモデルの完成を受けて検品のため工場を訪れました。この時には細かな修正点とセッティング時のコツを伝えました。
修正点 – 配線方法、配線材長さ、ツイスト方法、ボルトの閉め方、トレモロアーム軸、ビス締め付けトルク、ゼロフレット高さ、ピックアップサラウンド固定用の両面テープ、ジャック用菊型ワッシャーサイズ、ピックアップ高さ調節用シム、ピックアップザグリ深さ、潤滑剤スーパールーブ、など。
ブリッジ
bridge01.jpg
ブリッジはメンテナンスや調整のし易さとコストの面からウィルキンソンが採用されていますが、ボディーにオリジナルタイプのブリッジに換装する際に使用するガイド穴を開けていますので、将来アップグレードする事も可能です。当工房から専用キットを販売予定です。
ピックアップ
CIMG1058.jpg
ブライアン・メイ・スーパーにはフライヤーさんがおよそ8年の歳月をかけて研究開発したピックアップが採用されています。ブライアン本人がテストと開発に関わった特別仕様です。特にフロントピックアップには特別な加工がされており、この部分がボヘミアン・ラプソディーに代表されるフェイズアウトサウンドに大きな特徴を持たせているそうです。ピックアップについての詳細は後日あらためて触れたいと思います。