KGWピックアップ
更新日:2018-10-02
KGW PICKUPSはKz One Standardのために開発されたKz Guitar Worksのオリジナルピックアップです。
KGW開発以前Kz Oneにはレッド・スペシャルにも使われているBurns Tri-Sonic pickupsのレプリカモデルである”Classic British“や”Dome Top“を搭載していました。
[クラシックブリティッシュPU]
[ドームトップPU]
ところが全幅の信頼を置いていたAdeson社からのピックアップの供給が2016年に断たれてしまいます。これをきっかけにオリジナルピックアップの開発をスタートし、交流のあるピックアップビルダーやミュージシャンたちの協力の末に2017年にKGW PICKUPSを完成させました。
サウンド
KGW PICKUPSは60年代のUKスタイルをモチーフにしたシングルコイルピックアップで、ヴィンテージテイスト溢れるブリティッシュトーンを取り入れながら、モダンな音楽にフィットする高い音圧やノイズ耐性を持ちます。シングルコイルらしい繊細なピッキングニュアンスの表現力と、一般的なシングルコイルよりもファットなサウンドを持ち合わせており、ソリッドボディのギターにはもちろんセミホロウボディのギターにも完璧なバランスをを持つエレガントなサウンドをもたらします。
Tri-Sonic、Classic British、Dome Topは金属カバーでしたが、ピックがカバーに当たった時の金属音を排するためにプラスチックカバーを採用しています。
構造について
コイルは一般的なシングルコイルピックアップよりも薄く、広い幅のデザイン。これによって従来よりもファットなトーンが得られます。ワイヤーは一般的なものよりもわずかに細いゲージのマグネットワイヤーを採用し、ターン数は少なめ、コイルの堆積を小さくすることでハムノイズの発生量を極限まで抑制。ワックスポッティングとエポキシ樹脂によるコーティングを施し、アリーナクラスのステージでの使用にも耐え得る高い対ハウリング性能を持たせました。当然ながらフロント、センター、リアはそれぞれターン数はキャリブレートされておりミックスポジションではハムキャンセル効果が得られます。
こうして仕上げられたボビンは金属製のヨークと組み合わせます。ヨークは弦振動から電気信号への変換効率を高め、またノイズを混入させないシールド効果も持ちます。
マグネットには意図的に減磁したセラミックマグネット採用し、マイルドでありながらワイドレンジなサウンドを志向しています。マグネットは2コ向かいあわせるように配置し、それ自体をポールピースとしてデザインしています。これによって中央付近ほど強い磁力が得られ、指板のRに合わせて弦振動をキャッチします。
製作過程
ピックアップを構成するパーツの1つで、これらは加工前のボビンとセラミックマグネットです。
このように組み込んだ後に特別に選んだ少し細めのマグネットワイヤーを巻いていきます。
巻きあがるとこのようになります。マグネットは前述したとおり2コが向かい合っています。
この後、金属カバーと同等の対ノイズ性能を得るためにボビンにはシールディングを施し、スティールのヨークを組み込みます。
こちらにリード線を取り付け、ケースに組み込んで完成です。
開発ストーリー
KGW開発以前は「世の中にもっとブライアン・メイサウンドの良さを知らせたい」ということからトライソニックを元にしたクラシックブリティッシュを採用しました。しかし、Kz Oneをスタンダードなギターにするためにもっと扱い易いサウンドデザインの必要性を感じ、KGWの開発に踏み切りました。クラシックブリティッシュのサウンドをモチーフにしたビンテージブリティッシュトーン(ダークさ、湿っぽさ)を残しながらも、明るさを足すために低音域を微調整しています。
種別としてはシングルコイルでありながら、ノイズに関しては徹底的に排する事にこだわりました。ピックアップのケースのトップ面には指板のRに合わせたRをつけたドームトップデザインを採用しています。これにより全体的なデザインは統一性を持ち、ユニークなルックスに仕上がりました。
結果としてサウンド・対ノイズ性能・ルックス、全てにおいて唯一無二、完全オリジナルなピックアップが完成したと思います。
Kz Guitar Works代表 伊集院
スペック
直流抵抗値 ネック7.5kΩ ミドル7.7kΩ ブリッジ7.9kΩ
ツインセラミックマグネット
ワックスポッティング
エポキシコーティング