Kz Guitar Works

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VOX AC30/6 BASS

更新日:2010-03-27

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お借りしているJMI期の「VOX AC30/6 BASS(ベース)」モデルの詳細です。先日の記事でも触れましたが、この個体はブライアン・メイが所有していたと言われています。見ての通りヘッド部で切り取られ、ヘッドアンプに改造されています。
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ざっと調べたところ、このヘッドは「AC30/6 BASS(ベース)」モデルで、トップブースト回路もありませんでした。さらに、ビブラート/トレモロチャンネルのコントロールツマミが取り去られ、スピーカーアウトに改造されていた跡があります。現在は内部で結線されてなく、機能していません。
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シャシーのシリアルナンバーとモデル名が記されています。
シャシー内部に「B May」とありますが真贋は不明。
詳細を見ていくと、トーレックスが「ブラック・スムース」、コントロールパネルは「クーパー・パネル」、パネルロゴは右下に「錆色JMI」、ノブは「チキンヘッド」、インプットは「6」、コーナープロテクターは「(恐らく)無し」、ボルテージセレクターは「リンクタイプ」、整流は「真空管」、 シャシーのシリアルナンバーは「03839」でした。
上記の情報を総合すると1961~1963年製造だと思うのですが、キャビの裏側の シリアルナンバーが無いことや、グリルクロス、スピーカー、VOXバッジ、ハンドル、ベンチレーター(通風孔の飾り)などが付いてないので正確な製造年は判りません。
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シャシー内を清掃しながら簡単に内部をチェックしたところ、ビブラート/トレモロチャンネルで使用するV7とV9の真空管(ECC83/12AX7)2本は抜かれていたのですが、V8は挿さったままでした。しかも、本来V8にはECC82/12AU7を挿さなくてはならないのにECC83/12AX7が挿さっていました。レイアウト(実体配線図)を見れば判るのですが、ここはソケットの番号が飛んでいるので間違えやすいです。
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いつの時代に記されたのか判りませんが、シャシー内部に書かれた真空管番号。左からV7、V8、V9となっているが間違いです。
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正しくは左からV7、V9、V8です。正しく使うためにはV8にECC82/12AU7を挿します。ちなみにパワー管はV3、V4、V5、V6です。
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お客様と相談して、ノーマルチャンネルとブリリアントチャンネルでは使わないV8は抜きました。いわゆる「ブライアン・メイ仕様」です。(リイシューのAC30は真空管の配置が異なりますのでご注意下さい。)
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各部の電圧測定を行ったところ概ね正常値でした。2年以上電源を入れていなかったと言うことで心配していましたが安心しました。ただ、古いアンプなので当たり前なのですが、ガタが来ている箇所も散見できました。これから時間をかけて抵抗やキャパシターなどは一個一個チェックしたいと思います。
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少なくとも写真中央の電解コンデンサは交換したいところ。写真のモノと合わせて3箇所、日本製のパーツに交換されていました。性能に問題はないのでしょうが、ビンテージアンプのパーツとしてはそぐわないような気がします。
また、このアンプは「AC30/6 BASS(ベース)」モデルですが、「AC30/6 NOMAL(ノーマル)」モデルとは3個のキャパシターの値が異なるだけですので、お客様のご希望があれば変更も可能です。さらに、トップブースト回路を追加することも可能ですが、ブライアン仕様には不要です。
作業が進展しましたら、またご報告したいと思います。