Kz Guitar Works

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Guitar Gallery 0063 / Kz RS Replica Aged 1985

更新日:2021年10月13日

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1985年時点のレッド・スペシャルを再現したエイジド加工のRS Replica

▲Kz RS Replica Aged 1985 #20210283

 


◇『ライブエイド』の1985年当時をイメージしたエイジド加工モデル
◇一旦、Kz RS Replicaを完成させ、そこを起点にエイジド加工
◇豊富な資料からダメージの原因を検証し、再現

 


《From Workshop》
Kz Guitar Worksの20周年記念として特別な1本を製作しました。それがこのKz RS Replica Aged 1985です。

 

エイジド加工というと、多くのブランドではヴィンテージの風合いを“漠然”と再現することが多いと思います。しかし、このギターは“『ライブエイド』が開催された1985年頃のレッド・スペシャルを再現する”という具体的なテーマを持ったエイジド・モデルです。レッド・スペシャルはこの時期を過ぎるとブライアンのソロ活動などで使用機会が増え、それに伴い、痛みも目立ちはじめ、最終的にレストアされます。1985年はクイーンにとってのライブエイドという重要なタイミング、加えて、レッド・スペシャルは楽器としての機能もキープしつつ風格が増したタイミングです。

 

今回の場合、最初に通常通りKz RS Replicaを完成させました。そのギターにエイジド加工を施しています。ボディ・トップの塗装とピックガードの劣化の再現のために加熱/冷却という方法を使いましたが、他はほぼ全て手作業による加工です。

 

1985年時点では、経年による“劣化”よりも“使用感”が大きな特徴です。使用感は独特でブライアンが使うコインによるダメージ、演奏時のクセによるダメージが付く場所の偏りなどは、ブライアンの演奏スタイルによる特徴的なものです。弊社には、ブライアンのレッド・スペシャルの映像や雑誌、ムックなどの資料だけでなく、秘蔵の写真なども豊富にあります。その中から1985年頃のコンディションを抽出しました。何枚もの写真を観察し、個々のキズが出来た理由を考える“検証”とそのダメージを再現する“加工”という2つのプロセスで再現したのがこのギターです。豊富な資料と製作技術の両方を備えた弊社だからできるエイジド加工です。

 

■ブライアンのコインによるダメージと奏法のクセによる偏り

ブライアンはピックにコインを使っていますが、これが独特の形、大きさ、深さのダメージを与えています。

それは
・ピックアップの金属製カバーの凹みと削れ
・指板エンド付近の削れ
・ボディトップのネック・ポケット両側付近の削れ
・ピックガードのエッジとP.U.サラウンドの削れ方
などに見られます。

これらの深さや削れ方はコイン特有のものです。

 

▲ボディ・トップ正面

▲ピックアップのカバー、指板エンド付近、ネック・ジョイント両側のボディ・トップ

▲ピックガードのエッジ

 

もうひとつ、ブライアンの奏法のクセも独特です。ブライアンは特定の場所でピッキングするため、その周辺部は様々なダメージが混在しています。ピックアップ・カバーのダメージも3個全て異なります。さらに、スクラッチは6弦側に集中し、1弦側には少ないことが特徴です。

 

これを部位ごとに、様々な工具類で削ったり、こすったり、という地道な手作業を組み合わせたエイジド加工となりました。大胆さと細心の注意が同時に求められる作業でした。

 

正面の写真ではわかりにくいですが、ピックガードのエッジが落ちた丸み、ピッキングのアップダウン方向に発生するボディトップのヘアライン状のスクラッチも入れています。それに加えて、1弦側は弱めのスクラッチを入れ、ブライアンの小指が触れてできたであろうこすれや色のくすみも再現しています。

 

▲ボディトップの6弦側のヘアライン状のスクラッチ

▲1弦側のスクラッチとくすみ。ピックアップ・カバーのダメージも個々に再現。

 

■ストラップとバックルによるダメージ

ボディのバックはベルトのバックルが当たった大きなダメージが印象的です。その形や色、深さなども再現しました。また、トップ側のブリッジ6弦側からボディのアウトラインにかけて曲線のダメージがありますが、これは彼のストラップ付属の金属バックルが当たってできたものです。

 

▲ボディ・バックのダメージ

▲ストラップの金属パーツによる曲線状のダメージ
(※写真内のストラップは撮影用です。本製品の付属品ではありません。)

 

ダメージではありませんが、スライド・スイッチ付近にはテープでマスキングをしています。後のBMスターインレイではなく、1985年時点では黒いテープでした。

 

▲黒いテープでマスキング

 

■金属パーツ各種

金属パーツの中で最も特徴的なのはブリッジです。これは通常のReplicaと同じOriginal BM Style Bridgeを使い、資料を参考に両サイドを削り落としました。6弦側は丸く、1弦側は直線的に大きく削れています。他にコントロール・ノブ、シャーラー製のチューナーのバック部分にもエイジド加工を施しました。

 

▲Original BM Style Bridgeのエッジを削り落としたブリッジ。

▲エイジド加工をしたシャーラー製チューナー

 

■一般的な使用感

ボディのトップ、バック、ネック、指板エッジには演奏による摩耗などが見られ、それらも再現しています。ただし、演奏に支障となる部分には強いダメージを与えていません。

 

 

 

 

なお、『天才ギタリスト☆ブライアン・メイ』(シンコー・ミュージック刊)をお持ちの方でしたら、その本に掲載されている1985年の時点のレッド・スペシャルの写真は今回の加工ポイントを知る参考になると思います。

 

 


《SPEC》
■Body: Blockboard, Oak, Mahogany Veneer
■Neck: Mahogany (Quartersawn)
■Scale Length: 610mm (24-inch)
■Fretboard: Oak (Black-painted), 7-1/4 inch R
■Body Depth: 40mm
■Neck Grip: Original BM Style Thick Fat Grip
■Nut: Graph Tech TREM-NUT
■Fret: Jescar FW55095 (Zero) / FW45100 (1-24)
■Pickups: KGW T-S
■Bridge: Original BM Style Bridge
■Tremolo Unit: Original BM Style Tremolo Unit
■Control Knobs: Original BM Style Control Knobs
■Machine Heads: M6 135 Locking CH Large Pearloid
■Controls: Volume x 1, Tone x 1
■Switches: On-Off x 3, Phase x 3
■Color: Original Red Mahogany


本製品は宮地楽器 神田店様のオーダーにより製作しました。

 

※本記事は2021年10月時点の情報です。