Fryer Guitars

Treble Booster Special

不朽のブリティッシュ・サウンドを現代に

Fryer Guitars Treble Booster Special

価格 税抜¥53,000 2024年11月12日現在

|グレッグ・フライヤー氏について

グレッグ・フライヤー(Greg Fryer)氏は、オーストラリアのギター製作家です。日本ではブライアン・メイのレッド・スペシャルを修復したことで有名です。弊社にとっては、ビジネスパートナーですが、それ以上にKz製レッドスペシャルがブライアン・メイのオフィシャルになる橋渡しをしていただいた恩人です。さらに、グレッグさんからいただいた各種データは弊社、そして世界中のレッド・スペシャル研究家たちのかけがいのない知的財産となっています。

グレッグさんは、オーストラリアでギター製作家として1980年代から活動していますが、木工だけでなくエレクトロニクスの知識も豊富で、研究も欠かしていません。1997年には「ファースト・エディション」というトレブルブースターをブライアンに贈るなど、エレクトロニクス面でも密な関係を築いている人物です。


グレッグさんはエフェクターなどでも長いキャリアがありますが、ビジネス上の紆余曲折があった関係で、今回記事で紹介するエフェクターは比較的最近発売したモデルを中心に進めます。2014年に「トレブルブースター・スーパー」と「デラックス」が発売。翌年は「メイデイ」。さらに2018年には「トレブルブースター・スペシャル」が発売されました。これらもケースを製造していたアメリカのメーカーがケースを生産中止にするなどもあり、2020年からは弊社がフライヤーギターズ製のエフェクターを最終組込みするという協働活動になっています。

▲Fryer Guitarsから供給されたエフェクター本体を、逗子にあるKzの工房で、ひとつひとつエフェクター・ケースに組込みます。もちろん、厳重に検品した上で出荷しています。

|Fryer Guitars Treble Booster Special ストーリー

◇ブリティッシュ・ロックとトレブルブースター

Fryer Guitars Treble Booster Specialの前に、1960年代のトレブルブースターの説明をしなくてはなりません。1960年代から70年代にかけて、現在のロックギターのレジェンドたちが、数々の名盤をリリースした時期です。当時のギターアンプは1ボリューム仕様でした。ボリュームを上げれば、今でいうオーバードライブやクランチぐらいまでは何とか歪みます。しかし、現代のオーバードライブやディストーションのように便利なエフェクターはまだなく、アンプだけの歪みだけでは“冴えた音”にはなりません。そこで当時使われていたのが“トレブルブースター”です。これは歪ませたアンプなどの前に接続し、適度な量の冴えた歪みを得ようとするアタッチメントです。


現代のエフェクターと違い、トレブルブースターはオンオフのフットスイッチもなく、単体でのサウンドメイクが困難でした。しかし、当時のギタリストはトレブルブースターとアンプのボリュームとトーン、ギターのボリュームを組み合わせて、最適なサウンドを得ていました。また、名前こそトレブルブースターですが、音響的にはトレブルをブーストするのではなく、ミッドを上げ、ベースを下げるという動作をします。


ブライアン・メイもトレブルブースターとAC30で歪みを作り、クリーンなサウンドの時はレッドスペシャルのボリュームを下げる方法でサウンドメイクをしていました。他にも多くのギタリストがトレブルブースターと当時のアンプで不朽のサウンドを生み出していたのです。


◇グレッグ・フライヤー氏のトレブルブースターたち

グレッグ・フライヤー氏は様々なバリエーションのトレブルブースターを製作しています。1997年には「ファースト・エディション」というトレブルブースターをブライアン・メイに贈っています。その後、「リングマスター」、「ゲルマニウム・トレブルマスター」「トレブルマスター・ツーリング」「トレブルマスター・デラックス」「トレブルマスター・プラス」「トレブルマスター・スーパー」などを製作しました。いずれもトランジスターをはじめとするパーツが異なり、狙っているサウンドも異なります。

トレブルブースター・プラス

トレブルブースター・ツーリング

トレブルブースター・デラックス

|Fryer Guitars Treble Booster Special レビュー

Fryer Guitars Treble Booster Specialは、

・それまでのトレブルブースターたちの特性を“Range”という6段階で再現。

・“Level”ノブで音量の調整が可能。

となっています。6つのRangeは、それまでのトレブルブースターの長所を組み合わせた決定版ともいえる仕様です。


Treble Booster Specialは、“Range”によって6段階のサウンドが選べます。

右に回すにつれて、低音域が増えますが、

・ポジション2=TB Touring風

・ポジション3=TB Super

・ポジション4=TB Deluxe

・ポジション5=TB Plus

という、これまでグレッグさんが発売したトレブルブースターのサウンドの多くを網羅しています。


使われているトランジスタはTB Superと同じで、ポジション 3から5はTB Superなどと同様のサウンドです。(ただし、ポジション 2はTB Touringと違うトランジスタなので厳密には“TB Touring風のサウンド”です。)また、ポジション 1は、“より繊細な”サウンド。ポジション 6は“よりファットな”サウンドになっています。

1=“より繊細なサウンド”

2=TB Touring

3=TB Super

4=TB Deluxe

5=TB Plus

6=“よりファットなサウンド”

▲RANGEノブは6段階のクリック付。右に回すほど低音域が増えていきます。

|Treble Booster Specialの使いこなし方

もし、本機を現代のオーバードライブと同じように使ってしまうと、歪みの量で物足りないかもしれません。そのため、使いこなしとしては前述のトレブルブースターのようにローゲインのアンプをある程度、歪ませておきます。また、ギターのボリュームもフルにしておき、ご自身が狙う最大量の歪みをTreble Booster Specialで作ってみて下さい。そのセッティングをした後に、あらためてギターのボリュームを下げてみてください。

特にAC30と組み合わせると、ブリティッシュ・ロック黄金時代のサウンドが出せると思います。また、このセッティングにしておくと、ギターのボリュームの大小で歪み量を自在にコントロールできるはずです。そのサウンドは現代の歪みとは異なる色彩の、ダイナミックな変化とアンプの特徴が際立つ、魅力的な音になっていると思います。

Treble Booster Specialは6つのRangeがあるので多彩なサウンドを生み出します。もちろん、アンプとギターとの組み合わせ、ギタリストのセンス次第でブリティッシュ・ロックに限らない極上の歪みが味わえます。


Treble Booster Specialは現代的な仕様を持っています。

それは、

・フットペダル化されているので、足元でのオン/オフが可能

・LEDでの動作確認

・9V電池またはACアダプター(センターマイナス)にも対応

などの機能です。

これはいずれも現代では当然の仕様ですが、単なるヴィンテージ・リイシューとは異なる便利さも魅力になっています。

|フーチーズ村田善行 氏による動画解説

レッドスペシャルの修復で有名なグレッグ・フライヤー氏のペダルというと、どうしてもクイーンのサウンドで弾きたくなります。しかし、Treble Booster Specialは「どんなギターとアンプにも合うようにデザインされた多用途のトレブルブースター・ペダル」です。


以下の動画は楽器店フーチーズの村田善行氏によるTreble Booster Specialの解説動画です。この動画では、TLタイプのギターとフェンダーのアンプを使い、クイーンサウンドとは異なる視点から解説していただいています。特に、ギターのボリュームの大小。ギターのトーンを絞った際の動作など、様々な角度からTreble Booster Specialの魅力を引き出しています。

Treble Booster Specialは、生産できる量も限られますので、サウンドを確かめていただくのに絶好な動画となっています。ぜひご覧ください。